Documentrary + Photography
最初に言っておくと、私はジャーナリストではない。これはただの日記であり私の個人的な体験を記したものである。同じものがnoteにも3回に分けて書いてある。6月17日早朝警報の音で目が覚める。4時台後半銃撃も聞こえる。ここまではいつも通りである。急に声が聞こえる。アラビア語ではない。ヘブライ語。でも何て言っているのか私にはわからない。わからない言葉ってなんて恐ろしく感じるものなんだろうか?トランシーバーか何かから聞こえる声。思わずこちらも声を潜める、というかベッドに潜り込む。銃声と爆撃音の聞こえる中で過ごす時間はとても過ぎるのが遅い。電線が切れないといいけど。いつも思っていることだけど、今回はやはり停電。WiFiがつながらないのでネットで情報が拾えない。誰とも連絡がつかない。数日前から電波妨害があったのでプリペイドSIMのトップアップもできていないのが不安を増幅させる。たまに偶然4Gを拾うがメッセージやりとりできるほどではない。どうなるんだろう。何か忙しい空気が漂う。ベッドで丸くなる私。真っ暗な部屋のカーテンの隙間からサーチライトの光が一直線入り込む。まさか。イスラエル兵がうちの階段を上っている。寝る前に、絶対何があっても外に出るな!と言われていて本当だったら玄関のそとにカメラをセットしているところだけどなんとなくしなかったんだ。銃声が聞こえる。足音が増える、響く。強くなる。誰か連れて行かれた?撃たれた?人の気配がするがこちらは身動きが取れない。銃声、声、足音、爆発音、そして鶏の鳴き声がしばらく響く。
急に静かになった気がする。鳥のさえずり、鶏の鳴き声は相変わらずだ。9時過ぎには電気が復旧、ネットが戻り日常が戻る。
そんな日でも10時前にはサマーキャンプにキッズがやってくる。フォトグラファーとして働いているが、キッズはすぐにハグをしてくる。日常の恐怖から安心感を求めているのかもしれない。
2023年6月19日朝4時頃に目が覚めた。銃声と爆発音、そして似つかわしくない鳥のさえずりやコケコッコーの鶏の声がしていた。
6時くらいだったか、程なくして停電した。ネットが繋がらない。2時間程度で攻撃は収まってその1時間後には電気も復旧するだろうと思っていた。3時間経っても銃声も爆発音も収まらない。空からはドローンやヘリコプター、アパッチ攻撃だ。
いつものドローンやヘリコプターの低空飛行とは音が全然違う。それでわかった。ただ事じゃない。いつもとは違う。これは絶対に外に出てはいけない。誰とも連絡が取れない。だけど前の日に言われた。もし何か起きたら、始まったら絶対に外に出るな、窓際にも立ってはいけない。
玄関にカメラを設置しドアを閉めた。家の裏からも銃声、爆発音がする。そして救急車も。キャンプの中腹で事態は起きていると思っていたけど、包囲されている?隣の家の玄関の開く音がする。今は玄関を開けてもいいんだ、私も玄関を開けた。大きな爆発音と共に爆風を感じた。初めての経験だった。とっさに私たちは身を縮めた。隣のマダムが早く家の中に入って!と叫ぶ。爆発音、銃声は響き続ける。不謹慎かもしれないけど、その銃声はバーン、バーンという感じではなく、和太鼓を早いビートで叩き続けているような音だった。タタタタタタタタタタタタタタタタタタこっちの方が表現としては近い。
前日の夜に朝ごはんにフレッシュなフムスを食べたいから何も買わないぞ!と思って家には少しのスナックしかなかった。幸いお水だけはストックがあった。気がついたらお昼13 時を過ぎていた。その間、銃声と爆発音が鳴り続けていた。
そんなに近づいていないのに私のTシャツは真っ黒だった。停電するまでは100%の充電ができていたラップトップ、スマートフォン、カメラ類。停電しても記録し続けカメラのバッテリーが枯渇してきた。替えのバッテリーを使う。スマートフォンもたまに4Gを拾うが、それは常に電波を探しているということなのでいつも以上に電池の減りが早い。電源を落とすか、どうするか迷うももし4Gを受信した時に重要なメッセージ(早くどこどこへ逃げろとか)受け取ったらと思うと電源を落とすことはできなかった。ラップトップを予備電池をすることにした。Wi-Fiが使えない中、ラップトップは特に必要ない。明るさを最小限にし何も繋がずスマートフォンの電池が少なくなるとケーブルで繋ぎ充電した。
電波障害もあるせいか本当にスマートフォンのバッテリーの減りが早い。
玄関を少し開けたり、閉じたり、お隣から情報もらったり、何かバタバタしていて5歳くらいのキッズだけが私をケアしてくれるようになった。それでも本当にありがたい。
鳴り止まない銃声と爆発音、ドローンにヘリコプター。特に記述することがない。それはずっと家の中に篭っていたから。窓にも近づかず、音だけで外部で何が起きているのか音の大きさでどれくらい近いのか判断することになる。
気がつくと午後3時を過ぎている。ご近所さんが、終わったよ、と告げる。
私が家の裏から聞こえた銃声は彼女を撃ったものだった。Sadeelとはシアターの前でよくすれ違ったりしていてその度に彼女は笑顔でハローと声をかけてくれていた。いつも笑顔だった。将来は病院で働きたいって言っていた。そのために勉強しているって言っていた。15歳って何してたっけ。
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彼女の友達が私に送ってきたメッセージの1通はこうだった。
これが私たちパレスチナ人の人生よ
こんな理不尽なことってある?
azursugar
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